日本笑い学会三重支部 投稿広場 3号

＜投稿広場　第3号＞　日本笑い学会 鳶野会長からの投稿です。

あなたと一生遊び惚けたい！？

　遊びは不思議です。「遊びなんやからそうマジにならんでも」と宥めもすれば、「遊びやゆうて手ぇ抜かれたら面白うない」と責めもします。「○○ちゃん、遊ぼ」と誘い、「遊びに連れてって」とせがみながら、「遊びのつもりやったらお断り」と拒み、「私たちの関係は結局遊びやったんか」と嘆きもします。遊びたいのか遊びとうないのか、どっちなん。マジもあかん手抜きもあかんて、どうすんの。そもそも、遊ぶってどういうこと。
　遊び体験の真髄は、まじめ－ふざけ、本気－冗談、現実－虚構、真－偽といった、普段は当たり前に見える二項対立の輪郭と境界が溶解する愉悦に満ちた感覚にあるように思います。是－非で事柄を判断することは、日常生活では確かに不可欠です。でも、是か非かだけでは、窮屈で息が詰まります。
　遊びの極みにおいて、私たちはいわば、夢か現かわからんこの世という幻に生きることの魅力を、好きか嫌いかわからんほど憎く愛しい人と深く分かち合うのではないでしょうか。その時私たちは、今ここにありながら今ここを超えて、生きることの豊穣な｢おかしさ(奇妙さ、滑稽さ、素晴らしさ)｣に触れているのです。
　ほな、一緒に遊ぼ。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
（鳶野克己）